2018年 03月 14日 ( 1 )

2018年 03月 14日
同じ括り、なの?
「そろそろ春休みですね。」
「ですね、自分の内職仕事も2ヶ月くらい無くなっちゃいますわ(笑)」
「今度は6月ですか?」
「スケジュール的にはその位ですね」
「そうなんだ」
「そうなんですよ」

いつもの他愛のない会話である。
「じゃぁ暫くお会い出来ないんで仕事が終わったらお茶でも如何ですか?」
そんな風に誘ってみたらにこりと笑顔を返され、「では6時に」と時間を決める。
平日なので特にこれと言った予定も無いし、日も長くなってきたことだし帰り際に少し一服するくらいの時間は取れそうだ。

地下街で待ち合わせて喫茶店に入る。
人気店らしく店内はほぼ満席。
この店は最近のシアトル系コーヒーショップのように注文したものを自分で座席まで運ぶ半分だけセルフサービスのスタイルだが、それでも時に店員が気を利かせてくれて座席を確保してくれるサービスもある。

「お二人ですか?」
「はい」
「お煙草はお吸いになりますか?」
「いえ、吸いません」
「では禁煙席のお席を確保しておきますので、番号札の掛かっている座席にお座り下さい」

なんとサービスの良いことだろう。
これはシアトル系のコーヒーショップでも行ってくれるのだろうかと思いながら、それでもコーヒーを持って番号札が置かれている座席に向かう。
その座席は50cm幅くらいの小さなテーブルが真ん中にある、片方がベンチシート、片方が小さなチェアとなった向かい合って座るタイプの席だった。
コーヒーを飲む程度ならこの程度のサイズのテーブルで何ら問題はない。
ただ今回はその場所が微妙というか。

予約席に座ると丁度そこには両隣にも若いカップルが座っており、奥のベンチシートに女性、手前のチェアに男性と言うスタイルで、我々も同じように腰掛け、見ようによっては3対3の合コンみたいな感じにも見えなくはない状態だった。

「段々と日が長くなってきて気持ち的に楽なんですよね。どうも日が短いと気分が晴れなくて」
「そうなんですか?、それって冬期鬱って呼ばれる症状ですよね。私は余り感じませんけど夕方4時過ぎから暗くなってしまうと鬱々とした気分になる人いますよね」
「そうなんですよ、だから夏に向かうと段々気持ちが楽になるんです」
「結構デリケートなんですね(笑)」
「そうなんです、こう見えて結構デリケートなんです。ところでこの前のお見合いみたいな話ですけど」
「あぁあれですか、お断りしました(笑)」
「あ、あ、そうなんですか」

なんだろう、この一瞬にして心の中の霧が晴れたような気分は。
心の中で何かがずっとモヤモヤしていたものは、もしかしてこの事だったのか。

両隣のカップルはつきあいたてなのか、それともその前段階なのかとても会話が初々しく、お互いが敬語で話している。
真ん中に挟まれてる自分たちもお互い敬語での会話だが、唯一違うのが男性が大学生とか新社会人ではなく元大学生、元新社会人のベテランおっさんと言う事くらい。
この組み合わせで3対3の合コンって余りに痛すぎる。

聞くとは無しに聞いてると、話の内容は旅行の話とかお互いの親の話とか、先ずは自己紹介的な話がメインで良いなぁと思うのは自分が年を取ってきた証拠なんだろうな。
敢えて聞くつもりはなくとも、両隣の話は厭が応にも聞こえてきて、あまりの初々しさに来外さし差がこみ上げてくるのを必死で我慢しようとするが、つい口から小さく笑いがこぼれてしまう。
それを誤魔化すように下を向いてみるのだが、思わず肩が揺れてしまう。

「どうしたんですか?」と聞かれてもそこで両隣の話があまりに初々しくておかしくなってしまったとも答えられず、ただ「いえ、とくに」と答えるのが精一杯だ。
ただしそれではあまりに素っ気ないのでカバンからスマホを取り出して真向かいに座ってるにも拘わらず、笑ってしまった理由をLINEで送る。

「両隣のカップルの会話があまりに初々しいものですから、それで堪えきれずに笑ってしまいました(笑)。年を取った証拠ですかね」と。
LINEを送ってすぐさま返事が戻って来て
「私たちも周りからは同じに見えてると思いますよ(笑)」
「いえいえ、それはちょっと無理がありますって。貴女は大丈夫ですが、私が。」
「どうしてですか?」
「第三者的に見たら保護者か援助交際か、お店の同伴出勤前にしか見えないかと(笑)」
「うーん、あり得ますね(笑)」

お互い向かい合って何をコソコソやってるのかとまた笑いがこみ上げてきてしまう。
声に出して話せば良いのだろうが、内容があまりに身近すぎて気が引けてしまう。
まさかそんな事を思ってるなて両隣のカップルは思いもしないだろうし。
その間も両隣のカップルは何が楽しいのか判らないが、お互いの事をそれぞれ聞いたり話したりしていた。
きっと人生の瞬間の中でもっとも楽しい時間のうちの一つなんだろうが、その時間はこの先を生きていく上で人間形成に大きく影響を及ぼすと思われるので是非とも大切にして欲しい、と思うおっさんであった。



by Wonderfullifewith | 2018-03-14 16:06 | うちのこと | Comments(0)