2017年 10月 24日 ( 1 )

2017年 10月 24日
その先が 2
「スッキリした?」
「えぇ、かなり楽になりました。やっぱりお酒はあまり強くないです。家で練習してるんだけどなぁ」
「練習って、お酒の?」
「はい、毎日少しずつ(笑)」
「練習すると飲めるようになるの?」
「良く判らないんですけど、折角だからお酒が飲めた方が楽しいかなと、この年になって思いはじめたんです」

この年、正確な年齢は控えるが、それなりの年齢になっているのは間違いないわけで、それが証拠に自分が今の施設にお世話になって10年以上は経過しているし、その当時からいる人だからまぁそう言う年って事だ。
その年になってからお酒の席の楽しみを欲するって事は、彼女の中に何が芽生えてきたのかも知れないが、それは週に1回程度、それも時間にして都合1時間弱しか会わない間柄、と言うか事務所ですれ違って挨拶をする程度だから詳細は不明だ。
それでもこうしてどこからどう見てもイケメンでもダンディでもなく毛髪が残念な状態になっているような、しけたアラフィフのおっさんと一緒に酒を飲んでくれるんだからありがたい。

「お酒の席だといつもの人も別の側面が見られることがあるから楽しいよね」
「ですよねぇ、この前もビックリしたことがあるんですよ」
と言いながら会社の人の話を面白く教えてくれた。
その人のことは自分も良く知っているから、
「そうなんだ、人は見かけによらないね」と相づちを打つ。

「先生はお酒を飲むとどうなるんですか?」
「え?どうなるって、今お酒を飲んでる状態だからこんな風になる、ってどうなってるんだろう?」
「えーっと、良く判らないです」
「エッチになる?」
「それは飲んでないときも同じです(笑)」
「あ、そうくるかぁ。でも間違いないな。否定も出来ないわ」
「でもサラッとして時々気づかない感じでそんな話をしてて、あとで他の人から教えて貰って判ることもあるんで、その辺もやっぱり上手ですよね(笑)」
「上手、なの?」
「えぇ上手だと思います」
妙な褒められ方をしたものだ、下ネタが上手。
確かに以前「空気のような下ネタを言う」と言われたことはある。
教室のほとんどの人間が気づかないけど、ある程度社会経験を積んだ生徒だけが気づいてクスッと笑うようなマニアックな下ネタを言う事はあった。
あったって、講義中にそんな話を織り交ぜて良いのかと無粋なことは言わないで欲しい。
どうしても下々の話題になってくるとその辺りを軽く混ぜ込んで話をした方が判りやすいこともあるのだ、と自分は思っている。

そんな風に言ってくれる辺りがこの人もやっぱりある程度大人になったんだなと感じる。
これでもう少し若かったら怪訝な目をされてお終わるところだろう。

「ところでこんな所でお酒飲んでることが知られたら色々面倒じゃありません?」
「面倒・・・だね(笑)。でもまぁ関係も仕事絡みだから、その辺は何とでもなるでしょ」
「そうだ仕事絡みですよね。でもこれが仕事絡みじゃなかったら?」
「え?え?え?、今そう言う事を言うわけ?。そう言う事言われると免疫の少ないオジサンは妙な妄想を抱くって知ってて言ってるの?」
「あ、ごめんなさい。そんなつもりじゃなくて」
「でしょ?でももし仮にそんなつもりで言われたら・・・」
「言われたら?」
「・・・うそでも嬉しい(笑)」
「うそでもって、うそなんかじゃないですよ」
「だからぁ、それがダメなのよ。ホント頭の中で妙な妄想が膨らむんだからやめてよ〜(笑)」
「妙な妄想ってどんなのですか?」
「え?それは・・・言えない。言ったら完全人格否定される可能性もあるし。今まで形成してきた自分という人物像が音を立てて崩れていくかも知れないし、いや間違いなく崩れる(笑)」
「そんなこと無いですよ、教えて下さい。どんな妄想をしているのか」
「いやいやいや、それは絶対に言えないよ、墓場まで持って行くつもりだからね」
「そうなんですか?、残念だなぁ。」

そう言いながらカシスオレンジのリキュール抜きみたいなのを飲む彼女の姿を横目で見ながら周囲に気づかれないようにもじもじするおっさん。
ダメだ、完全に相手のペースになってる。このままだと何かがマズイ気がする。
いや何かがマズイ気がすると思うこと自体が完全な妄想なのだが、大学生の時に最初で最後のモテ期が来た時と同じ様なこの妙な心のざわつき感をどう解釈すれば良いのだろうか。
ただ「それは単なる男性更年期障害の症状です」とかこちらが泣き崩れそうなことは頼むから思わないで欲しい。

「私だって妄想くらいしますよ。」
「え?そうなの?どんな?」
「それは言えません(笑)」
「でしょ?言えないでしょ?。妄想は人に言ったらダメだよね」
「ですね、でもその妄想が妄想じゃなくなったら・・・」

マズイ、完全に相手のペースだ。
どうにかこちらが有利に持って行かなければならないと思ってはみるものの、どうしたらそれが出来るかの手段が見つからない。
そうだ、話題を変えよう。

「そうそう、いい歳してさジム通いも3年目なんだよね。少し腕が太くなったかなと思える以外は腹筋が割れてくるわけでもないし、胸がピクピク動くわけでもないし、やっぱりもっと肉を食べないとダメかな」
「そうだ私も家で腹筋やってるんですけど、上の方は割れてきたんですけど、下がなかなか割れなくて」
「そうなの?、上の方は腹筋割れたの?凄いね」
「そうなんですよ、上だけですけど割れてきたんです。見てみます?(笑)」
「いや、それは・・・」
「冗談ですよぉ。それにお店ではお腹出せないし、出しても暗くて見えないし」
「そう、冗談にしてはキツすぎるよ」
「でも洋服の上から軽く触るくらいなら良いですよ」
「いや、それもセクハラになるから遠慮しておくよ」
「セクハラって、された本人がそう思えばセクハラで、思わなければセクハラじゃないって知ってます?」
「らしいね。福山雅治が触れたらセクハラじゃないけど、アンガールズの田中が触れたらセクハラってヤツでしょ?」
「そう、凄い基準ですよね。人によって基準が変わるなんて酷いと思いません?」
「思うけど、それは女性主体の考えだから、僕ら男がとやかく言う事じゃないと思うんだよね」
「ですね・・・。だから触っても良いですよ」


アルコールって大脳皮質を麻痺させる飲み物ってこををしっかり肝に銘じておかないと、この先の人生奈落に落ちそうな気がする展開が待ち受けてるかどうかは神のみぞ知るってところ。

つづく(のか?)


妄想って楽しいわ。


by Wonderfullifewith | 2017-10-24 18:50 | うちのこと | Comments(4)