2011年 02月 17日
ホテルオークラでフレンチトースト
食べてしまった。
それも相当場違いな場所で頂いてしまった。

ホテルオークラ札幌の1階レストラン。
情報を知ったのはTwitterだったろうか。
「フレンチトーストが美味しいレストランがある」という記事を読んでしまった。
それも札幌で食べられると。

聞いてしまったらもう行くしかあるまい。
フレンチトースト歴はそれほど長くはないが、自分の中では数少ない「ハイカラな食べ物」に位置する料理だ。

自分が初めてフレンチトーストなる料理を知ったのは、恐らく映画「クレイマークレイマー」であろう。
映画そのものをしっかり観たのはつい最近だが、ダスティンホフマンが不器用な手つきでフレンチトーストを作るシーンだけはなぜか昔から覚えていた。

それ以来自分の中ではフレンチトーストはある種特別な食べ物であった。
食パンを牛乳と卵を溶いたものに浸けてバターで焼くだけの料理。
味付けはしょっぱくても甘くても良しみたいな、ある意味適当な料理。
ちなみに自分は甘いのが好き。

時々無性に食べたくなり、映画のテーマソングを口ずさみながら台所に立って調理することもあった。
あくまで自己流で。
実際自己流と言っても、何が正統かなんて知らない、もしかしたら何かでレシピを見たかも知れないが、卵を一個割り溶き、牛乳を50ml程度入れ、そこに適当量の砂糖を入れた中に食パンを一枚浸してバターで焼く。
味は推して知るべし。

それがホテルのレストランできちんとした形で食べられるとなれば、一度は行ってみるしか無かろうと重い腰を上げた(尻は軽いけどね)。

ホテルのHPを見ると、なんと「1日限定3食」となっている。
それも「要予約」という扱いだ。
父子家庭の質素な料理が、ずいぶんとまた出世したものだ。

早速ホテルに電話を入れ、フレンチトーストの予約をする。
何となく気恥ずかしい。
良い年したオッサンがフレンチトーストを食べるが為だけにホテルに電話を入れているのだ。

予約日は休日の昼。
その日は丁度内職がある日だ。
午前中の内職を終え、ホテルに向かう。

レストランに入り、予約していることを告げる。
店内を見渡すと、客の入りは昼時と言う事もあり座席はほぼ9割方埋まっている。
殆どが50才代以上の女性。
女子会と言うにはちょっと年齢が行った、所謂「有閑マダム」(古っ)な方々ばかりだ。
世の中は本当に不況なのかと一瞬思ってしまった。

男性客を捜すと、自分以外に3名ほど。
ホテルのランチタイムは、完全なまでにアウェーな状況だ。


案内されたテーブルには「予約席」の札が置かれていた。
いや、確かに予約の電話は入れましたが、単にフレンチトーストを食べに来た客なんですが。
テーブルに着くと、すぐさま接客係の女性がやってきて、コーヒーか紅茶のどちらかにするかを尋ねてきた。
コーヒーをオーダー。

程なくしてクレマの立ったコーヒーがやってきた。
フレンチトーストが焼き上がるまでに、オーダーしてから約20分ほどかかる。
その時点でコーヒーが運ばれてきたと言う事は、これは1杯だけのサービスではないなと直ぐに想像出来た。
これは飲み干しても大丈夫だと確信した自分は、配分を考えずに飲み干した。
もし給仕が1杯だけであったなら、後で思い切り後悔するんだろうなと思いながら。

20分ほど経過の後、それは恭しく運ばれてきた。
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違う!自分が作るフレンチトーストとは次元が違う。
見て判るように、パンがふっくらと膨らんでいる。
見ようによっては「油揚げの焼き物」にも見えなくはないが、正真正銘のフレンチトーストである。
恐る恐るナイフとフォークでカットしてみる。
表面は幾分さくっとはしているが、果たして内部は驚くほどふわふわな状態。
メイプルシロップ、はちみつ、バターが付け合わせで別盛りになっていたが、まずは何も付けずに一口。

「歯の出番殆ど無し」
表面のさくっとした部分にだけ活躍の場を与えられるのみで、後は舌の上でパンが静かに溶解していく。
三流グルメレポーターが言う
「溶けた!」状態。

味はほんのり甘め。
自分好みの味付けだ。
シェフに一言申し伝えたい心境に駆られた。
「良い仕事してる」と(笑)。

バターを載せてみると、パンの上で静かに固体が液体に変化していく様が見られる。
思わず笑みがこぼれてしまった。
a0015198_19241129.jpg
バターの内部への浸透を容易にするため、パンの所々にフォークで穴を開けてみる。
パンとバターは苦もなく渾然一体化していった。

最初の1カットはメイプルシロップを掛けて食べてみた。
メイプルシロップも、ロイホのそれとは微妙に違う甘みがある。

2カット目ははちみつを掛けてみる。
「旨いなぁ」
久しぶりに食べ物で幸せを感じた瞬間だ。

パンの内部をどの様に表現したら良いか。
焼きたてのベイクドチーズケーキをもう少し柔らかくした感じ?
いや、もっと柔らかい感じ?
とにもかくにも、ふわっとした食感であることに間違いはない。
元々これが「パン」であることを想像出来ない歯触り(殆ど歯は使ってないけど)。
舌と上顎粘膜があれば充分嚥下可能な柔らかさに変化してしまう。


時間にして20分位だろうか。
幸せの時間はあっという間に過ぎてしまった。

自分へのご褒美。
生まれてこの方数十年。
よくぞ今まで只の一度も死なずに生きてこられたと、自分を褒め讃えつつ頂くに相応しいごちそうだ。


このフレンチトースト、太っ腹なことにレシピが惜しげもなく公開されている。
フレンチトーストの作り方
作る時間と手間が惜しい方は、お近くのホテルオークラまで電話されたし。





今回30枚位撮影したが、撮影機材は全てGRDⅢだ。
5D2も持っていたのだが、つい周囲の目を気にしてしまい撮影することが出来なかった。
まだまだ修行が足りない。
次回はデジイチで連写だ!と心に誓いホテルを後にした。

by Wonderfullifewith | 2011-02-17 19:53 | うちのこと | Comments(24)
Commented by BONBY at 2011-02-17 20:38 x
食べてみたい   でも

何でもガツガツ食べる自分には
レシピを参考に作ったものでも充分その美味さが伝わってくるでしょう。

で 2杯目のコーヒーは?  ドリンクバーじゃないか (笑)
Commented by タケ(^^V at 2011-02-17 20:45 x
次回は、ご一緒します(^^V
Commented by chandra at 2011-02-17 21:09 x
やはり 世界一 という話しは本当のようですね (^^)

しかし、新聞に記事を書いてらっしゃだけのある文章
すばらしいです m(__)m
Commented by miu_north at 2011-02-17 21:54 x
ポイントは ふたで蒸し焼きにすることなんですね〜。
まさにプリン液を浸して、パンの中でプリンを作る!

試してみよう!
ま、耳はつけますけどねw
Commented by mi-bar at 2011-02-17 22:12
美味そうです!
これほどの時間漬け置くんですねぇ

その内試してみたいと思います
Commented by ショボイボン at 2011-02-17 23:41 x
こんばんは
こちらにコメントさせていただくのは初めてになります。
ヨロシクお願いします。
人様のブログ、コメント欄にお邪魔するのは緊張しますね。
文字を入力していていても…ミス連発です(苦笑)
いやぁー今日の記事、素晴らしいです。
特に文章が。感情の表現等々。
お世辞ではなく『ブログって良いもんだなぁ』と。
ニヤニヤしながら思ってしまいました。
そして、
今度娘にフレンチトーストを作ろう!という気になりました<味は…ねぇ(笑)
とにかく、心地よい記事を読ませていただきました。
ありがとうございます。
それではまた♪


Commented by コロすけ at 2011-02-18 07:17 x
私には…敷居が高すぎ(笑)

ドリンクバーのある場所が落ち着きそうです。(爆)
Commented by つっち~@過疎地 at 2011-02-18 07:57 x
我々のベンチマークは、ホテルオークラではなくロイホな事を再確認しました。
Commented by たくみちゃん at 2011-02-18 09:14 x
上質な文章。
デスクで紅茶を飲みながら読んでいたら、
食べた気になりました(^^)

オークラ・・・あの薄暗いアナログな空気感は、
緊張してしまいます(笑)

僕も子供に作ってみます!
Commented by Wonderfullifewith at 2011-02-18 09:59
BONBYさん
是非お嬢様と同伴で行ってみて下さい。
そして父親の博識ぶりを自慢して下さい。
子供にしてみれば、出来る親はやっぱり尊敬の対象になりますから。

コーヒーですが、きちんと2杯目も出てきました。
さすがに3杯目はお腹もダブダブになりそうだったので止めましたが、どうなでしょうね。
たぶんお願いすれば入れてくれると思います。
次から出入り禁止になっても構わない勇気さえあれば(笑)。
Commented by Wonderfullifewith at 2011-02-18 10:01
chandraさん
ついに行っちゃいました(笑)。
伝票を見るとしっかりサービス料も入ってました。
まぁそれなりに楽しめたので良しとします。

文章、余り校正しないで書き殴ったのでグチャグチャですm(__)m
お金を頂く原稿は、もうちょっと頑張ってます(^_^;)。
Commented by Wonderfullifewith at 2011-02-18 10:02
みうさん
そうか、プリンですね。
パンの中にプリンを作るんですね。
だからあの柔らかさだったんだ。
また一つ勉強になりましたm(__)m
Commented by Wonderfullifewith at 2011-02-18 10:03
mi-barさん
つけ込み時間が半端ないですよね。
だから2日前までに予約が必要なんでしょう。
何かの機会に是非作ってみて下さい。
Commented by Wonderfullifewith at 2011-02-18 10:05
ショボイボンさん
ようこそm(__)m
貴殿の腕前を持ってすれば、ホテルオークラのちょっと手前の「ホテルコクラ」位にはなると思われます(オヤジギャグ炸裂だわ)。

今後ともスローアンドステディーにボチボチ宜しくお願い致しますm(__)m。
お互い見つかりませんように(謎爆)。
Commented by Wonderfullifewith at 2011-02-18 10:08
コロすけさん
確かに敷居高いです(笑)。
まず最初の関門が「契約駐車場の駐車料金が200円」です。
対してロイホは無料。
もうこの時点で無限大の差がありますからね。

私も今回のようなことがなければ、このホテルに近寄れるとは思えません。
以前このホテルに入ったのは、確かトイレを借りるためだったと記憶しています。

>ドリンクバーのある場所
オーダーしてもなかなか取りに行かないんですけどね(爆)。
Commented by Wonderfullifewith at 2011-02-18 10:09
つっち〜@過疎地さん
まさしく、我々の基準はロイホです。
例えるなら、天保山に登った経験がある人間が、いきなりマッターホルンを目指す位に無謀な行為だと思い知りました。
Commented by Wonderfullifewith at 2011-02-18 10:10
たくみちゃんさん
ご家族に作って差し上げると、きっと喜ばれると思いますよ。
「パパ特製、世界一のフレンチトースト風」で出してあげて下さい。
ただ、ホテルのレシピ通りに作ると、冷蔵庫の卵が激減しますが(貧乏笑)。
Commented by miu_north at 2011-02-18 13:20 x

お誕生日おめでとうございますm(u_u)m
お互い がんばりましょう!(なにを?w

Commented by kotodaddy at 2011-02-18 16:58
たしかに美味しそう・・。
写真でさえこれだけフンワリ感があるなんて、一体どんな・・^^
東京のホテルオークラでも食べられるのかなぁ。気になります。
あ、私もホテルのレストランじゃ一眼レフは出せないと思います^^;
Commented by kotodaddy at 2011-02-18 17:09
連続コメント、失礼します。
リンクされていたレシピに飛んでみたら、どうやら東京のオークラでも
食べられる様で・・。猛烈に行ってみたくなりました^^
ただし、行ってもコンデジどまりですが・・^^;
Commented by Wonderfullifewith at 2011-02-18 17:14
みうさん
ありがとうございます。
プレゼントはMacBookエアー13で良いです(笑)。
Commented by Wonderfullifewith at 2011-02-18 17:17
kotodaddyさん
東京のホテルオークラでふんわり感をご堪能下さい。
その際は是非ともゴーヨンで打ち抜いちゃって下さい(笑)。
でもかなり離れないと難しいですね。
「ちょっと下がって下がって」って言いながら、隣の座席辺りまで動いてズババババッとお願いしますm(__)m
Commented by e34hatch at 2011-02-18 21:19
クレイマー×2・・・とうちゃんが一生懸命いいかげんにフレンチトースト作るシーン・・・思い出すなぁ~
映画館から出た足でパンと卵と牛乳買いに行った(笑)
当然のようにコップの中の牛乳に二つ折りにした食パン突っ込んだ(爆)

それにしても・・・うまそう~~~!うまらやまし(あれ?)うまそらやし(?)うやらまし・・・どうでもいいや!
Commented by wonderfullifewith at 2011-02-20 09:37
e34hatchさん
映画を見たその足で買いに行ってしまうほど、あのシーンは強烈ですよね。
全国フレンチトースト教会から表彰を受けてもおかしくない出来だと思います。

オークラのフレンチトーストですが、東京のそれが元祖のようですので、何かの会合の際にでも是非!


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